私は映画監督としての「北野武」さんも
お笑い芸人としての「ビートたけし」さんも
どちらも大好きである。
でもこの「二つの顔」はこれまで映画の
世界では融合することはなかった。
といったバイオレンスものでも、時折
「ビートたけし的なネタ」
が入っていたが、あくまでエッセンスだった。
「みんな〜やってるか!」「監督・ばんざい！」
といった
「ビートたけしギャグ全開コメディ」
ものだと観ている人がかなり
「置いてきぼり」
にされているようなノリになり、面白いけど
興行的には苦しいだろうなというのが
とても感じられた。
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今回の「龍三と七人の子分たち」は
そういう意味では
が見事に融合した作品だと思う。
ストーリーは至って単純。
昔、昭和の任侠道を誇りにしていた
元ヤクザの「龍三」がオレオレ詐欺に
引っかかり、それをきっかけに元ヤクザの
老人達を呼び寄せて「組」を作り。。。
というお話。
主演の「龍三親分」を演じる藤竜也さん。
実は昔は余り好きでは無かった。でも
私自身がオッサンになった今では、この方の
”魅力”が分かってきた。
「龍三」を「兄弟！」と呼ぶ「若頭のマサ」
に近藤正臣さん。
昭和の「キザな二枚目役」といったらこの方
だった。(特に「動脈列島」は傑作＾＾)
今は富豪を装い寸借詐欺をしている
「はばかりのモキチ」を演じるのは中尾彬さん。
「アウトレイジビヨンド」に続く出演となった。
といった
「素敵な昭和のオッサン達」
が「組員」を演じている。
そして、今までの「北野作品」と違うのは
敵役達のキャスティング。
このキャスティングがこれまでのバイオレンス
作品とは一線を画する部分。
むしろ刑事役のビートたけしさんと北野作品
常連の国本鍾建さんの方が
「あっちの世界の人」に見える(ぉぃ
これらのキャスティングでピンと来た人も
いると思うが、基本的にこの映画は
「ビートたけしギャグ」
がふんだんに入っている。
息子役の勝村政信さんが幼少を回顧する
くだりで出てくる
「オヤジの武勇伝」
とか、競馬場での「3-5」のお話は
その昔の深夜ラジオ番組
でも披露されていたお話であり
それ以外にもたけしさん本人や彼の友人達の
経験した「実話」が色々とエピソードとして
入っている。
(私は当時を思い出して爆笑しながら泣いていた)
なお看護師役でアイドル時代の松本伊代さんの
バックや麻生真宮子さんとグループを組んでいた
山本恵子さんも出演している。
彼女もちょっと昔の深夜テレビ番組
「北野ファンクラブ」のレギュラーだった。
(「デビルガールズ」というバックダンサー名が
たけしさんのお気に入りだったのがきっかけ)
そんな訳で、内容的には「娯楽映画」としての
ある意味「王道」の作品。
クライマックスのカーチェイスとかラストの
オチも秀逸な作品である。
惜しむらくは、クライマックスまでのくだりで
もう少し感情移入できる描写があっても良かった
かもしれない。(特に「親子愛」のシーン)
もっともその点は「北野マジック」による
「切り取りの美学」では無縁の描写なのかも
しれないけど。。。
私の中での「北野作品」ナンバーワンは
「HANABI」だけど今回の作品は同率１位に
なる位、面白い作品だった。
あと思ったのだけど、たけしさんは脇役の方が
良い味出ると思う(あくまで私見)
なお、モキチの孫娘役で出家前の清水富美加さんも
でている。
了
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