私の20代はコンピュータのCE（主に機械回りのエンジニア)
だったのだが、これがブラック企業の典型だった。
毎年”とある時期”に機器を同一建屋で移設する
作業があったのだが、運送業者の売り上げを
がめたい為に上司がメーカーに頼んで自分たちで
運ぶ事にした。
たかがパソコン1台という話ではない。
今から30年くらい前のオフィスコンピューター
(以下オフコン)はとにかくでかい。
そして鉄の塊では無いかと思う位に重い。
だからこそ専門の運送業者がいたのだ。
当時のオフコンは輸送時に保険をかける
メーカー直系の物流業者を使うのがルールだった。
(そもそも機器単価が1台500万～1千万の高級機器)
だがしかし、しかし駄菓子。。。
ブラック企業に「保険」などと言う言葉は無い。
それどころか
「お前達は営業の一部なんだからスーツとワイシャツで仕事しろ！」
と作業服や安全靴はダメだと言われた。
要は自社では無くメーカーからのおこぼれ仕事なので
「ええかっこしろや！」
という会社の見栄や体裁であったのだ。
だがしかし、しかし駄菓子。。。
昔のオフコンは筐体がデカいことから、吹きだまり
のような所に設置されていたので、当然埃だらけである。
「お前ら営業なんだから、汚ねえ格好するな！」
作業服も着れず、掃除機もかける時間もなくスーツや
ワイシャツを汚さずに重たい機器を運搬するのは
無理である。さらには
「お前ら運搬中は機器を死んでも手放すな！
手足折っても壊すな！」
。。。これ、今だったら200%アウトである。。
しかも殆どの移設先にエレベーターはない。
ましてや扱うオフコンは5年以上経ったボロ。
移設する前に故障を調べる為テストをするが
そこで問題があったら電話で上司にネチネチ文句を言われ
その時に問題無く移設後に問題があったら上司にもっと
文句を言われる。
あのな～5年以上使っていたらどっか壊れているって。
要は修理の為、故障している事をメーカーの保守会社に
伝えると、メーカーから作業の問題点を追求され
我々の仕事がとられてしまうことを上司は恐れていたのだ。
※当時私が勤めていた会社は、メーカーの保守会社や他の
販売会社からは「乞食」と呼ばれていた。
自社の客が増えないことから、メーカーに尻尾振って
無理矢理おこぼれの機器設置の仕事をもらっていたからである。
そんなパワハラなお仕事が、さらにブラックになった。
1日の作業件数が多くなりすぎて、1件につき二人作業で
追いつかなくなってきたのだ。
すると上司はこういった。
「お前ら、これからはパートナーは〇帽だ」
なんとメーカーの運送会社の売り上げを奪った上に
今度は現地の作業員を1人にして、物を運ぶだけの
〇帽をメーカーにナイショで「作業員」として申告し
乗り切るというのだ。
もはや完全に詐欺である。。。
作業技術者が二人だから
メーカーは輸送業者の手配をしないことで了承したのに
〇帽を作業技術者にした上に、完了報告の名前は
実際に現地作業をしていないダミー社員の名前で
「2名の技術者にて作業」
として申告・報告するのだ。
当然現場は1人の作業員が短い時間で数台の
「移動されただけのオフコン」
を必死こいて組み立てるしかない。
しかも〇帽の中には、いわいる
「893反社の人5910」
もいた＾＾；
雪駄を履きながら運搬中も喫煙をしているという
ありえない人もいて私は現場で卒倒しそうだった。。。
当然私はそれらを上司に伝えたが、上司は全て握りつぶした。
「小さな嘘がうまくいくと、やがて嘘は大きくなっていく」
このブラック企業は社員には正直さを求めるが、自分達は
平然と取引相手に嘘をつき、しかも虚偽の申告で作業料を
水増ししていたのだ。。。
そして事件は起きた。
ある日の作業で、私が組んだ〇帽の老人の運搬員が
人の話を聞けない上に無茶をする人で
「解体が終わってから機器を運んで下さい」
という指示を無視し、オフコンが設置された机をそのまま
1人で無理矢理台車にのせて運ぼうとして結果、機器を
床下に全て落とした。
私が気がついたのは、他の機器を組み立てている時に
顧客の女性社員の悲鳴と機器の落下した衝撃音が聞こえた
からだった。
私は必死で機器を組み直して動作に問題が無いことを
確認したが、事故発生後の電話の向こうの上司は
「はぁ？〇帽？そんなやつはいねぇなあ！
お前が全部しでかしたんだろ？なんとかしろよ！」
と私を恫喝しまくったのだった。
結果的に機器は無事だったが、私は上司に
「全部お前が悪い！」
と頭ごなしに理不尽に言われたことで
「いずれこの会社に私は殺される。」
と思い、その日の夜は一睡もできなかった。
その後、事故は無かったことにされ私も不問にされた。
会社はとにかく
「売り上げの邪魔になること」
はごまかしたかったのだ。
だがしかし、しかし駄菓子。。。
事故は繰り返された。。。
別の作業員が〇帽と仕事した場所で、運搬中に
機器をはげしく落下させてしまったのだ。
そして、落下したオフコンのハードディスクは
残念ながら”ご臨終”となり、復旧までにメーカーの
SEや営業が奔走することとなり、結局3日間大騒ぎ
となった。
さすがにこの件はごまかすことが出来ず、これまでの
作業方法が見直されることになり、さらにプロジェクト
自体が1年後に無くなった。
機器を落下させた作業員は1年後にリストラで希望退職
させられた。
もし、私やその作業員が身体を犠牲にして機器を守ったら
はたして問題は起きなかったのか？
そんな事はないだろう。
たとえその時はごまかせても、やがてもっと大きな事故が
起きただろうから。。。
了
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